産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物の収集または運搬を業として行うためには、産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
下請業者に産業廃棄物の収集運搬を委託する場合は、許可を有している業者であるかを確認する必要があります。
一方で、産業廃棄物の収集運搬を受注したいと考えている下請業者にとっては、許可を取得することが必要です。
廃棄物とは
廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいいます。
なお、廃棄物の定義については、時間の経過とともに変化してきており、平成25年3月の環境省の通知では、下記のとおり、総合的に判断するものとされております。
廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきもの であること。
(平成 25 年3月 29 日環廃産発第 1303299 号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)
一般廃棄物と産業廃棄物
廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられます。
一般廃棄物
一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のごみのことをいいます。
家庭ごみや事務所からでる紙くずなどが分かりやすい例です。
産業廃棄物
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、その他政令で定める廃棄物のことをいいます。法令では20種類定められています。
また、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれのあるものは、特別管理産業廃棄物といいます。
産業廃棄物の種類(20種類)
産業廃棄物は、下記の20種類です。
ただし、紙くず、木くず、繊維くず、動物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体の7種類は、特定の業種から排出されたもののみが産業廃棄物になります。
種類 | 具体例 |
1燃え殻 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃残さ物、その他焼却かす |
2汚泥 | 排水処理後及び各種製造業生産工程で排出される泥状のもの、活性汚泥法による処理後の汚泥、ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く。)、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥など |
3廃油 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤タールピッチなど |
4廃酸 | 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類など、全ての酸性廃液 |
5廃アルカリ | 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん液など全てのアルカリ廃液 |
6廃プラスティック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む。)、などの固形状・液状の全ての合成高分子系化合物 |
7ゴムくず | 天然ゴムくず |
8金属くず | 鉄鋼、非金属の研磨くず、切削くずなど |
9ガラスくず及び陶磁器くず | ガラス類(板ガラス等)、耐火レンガくず、石膏ボードなど |
10鉱さい | 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かすなど |
11コンクリートの破片等 | 工作物の新築、改築又は除去により生じたコンクリート破片、レンガの破片その他これらに類する不要物 |
12ばいじん | 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、又は産業廃棄物焼却施設において発生する不要物 |
13紙くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)、出版業(印刷出版を行うもの)、製本業、印刷物加工業から生じる紙くず |
14木くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、木材又は木製品の製造業(家具製品製造業)、パルプ製造業、輸入材木卸売業から生じる木材片、おがくず、バーク類など |
15繊維くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず |
16動植物性残さ | 食料品、医薬品、香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物で、あめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚及び獣のあらなど |
17動物系固形不要物 | と畜場でと殺又は解体、食鳥処理場のおいて食鳥処理したことで発生した固形状の不要物 |
18動物ふん尿 | 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどふん尿 |
19動物死体 | 畜産農場から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどの死体 |
20 以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの |
産業廃棄物収集運搬業の区分
産業廃棄物収集運搬業許可の区分は、「1:積替え・保管を含まない」場合と「2:積替え・保管を含む」場合で分けられます。
2つの違いについては、下記のとおりです。
1:積替え・保管を含まない
産業廃棄物の排出場所で積込んだ産業廃棄物を直接、中間処理施設や最終処分先等に運搬する場合。
日付を超えることはできないため、その日のうちに排出場所から中間処理施設や最終処分先等に運搬しなければなりません。
2:積替え・保管を含む
収集した産業廃棄物を自社の積替え・保管施設で積替え・保管した後、中間処理施設や最終処分先へ運搬する場合。
産業廃棄物の許可区分
産業廃棄物20種類(上表)のいずれかの収集運搬を行うのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することになります。
ただし、爆発性、毒性、感染性、その他人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれのある特別管理産業廃棄物の収集運搬を行うのであれば、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を取得することになります。
産業廃棄物の種類によって、両方とも取得する必要がある場合もあるので注意してください。
許可行政庁
産業廃棄物の積み込みと積み下ろす場所が2つの都道府県にまたがる場合は、積み込み場所のある都道府県と積み下ろす場所がある都道府県でそれぞれ許可を取得する必要があります。
そのため、北海道内で積み込み、積み下ろしどちらも行う場合は、北海道知事の許可を得ればいいことになります。
2つの都道府県にまたがる場合であっても、運搬の際に通過するだけの都道府県の許可は必要ありません。
また、平成23年3月31日までは、札幌市内で産業廃棄物の積み下ろしを行う場合、札幌市の許可が必要でしたが、法改正に伴い、平成23年4月1日以降は、札幌市の許可がなくても、北海道知事の許可を有していれば札幌市内での収集運搬を行うことができるようになりました。
申請手数料
産業廃棄物収集運搬業許可(新規・更新・変更)の申請では、下記のとおり、収入証紙で申請手数料を納付します。
産業廃棄物収集運搬業許可
申請区分 | 申請手数料 |
新規許可申請 | 81,000円 |
更新許可申請 | 73,000円 |
変更許可申請 | 71,000円 |
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
申請区分 | 申請手数料 |
新規許可申請 | 81,000円 |
更新許可申請 | 74,000円 |
変更許可申請 | 72,000円 |
標準処理期間
許可行政庁に申請をしてから許可が下りるまでの審査期間(標準処理期間)の目安は、約30日になります。
許可が必要な場合は、必要書類の作成や添付資料の収集の時間も考えて、余裕をもってスケジュールを組む必要があります。
許可の要件
産業廃棄物収集運搬業許可の要件は、次の5つです。
- その①:収集運搬の用に供する施設を有すること
- その②:適正な事業計画書を整えていること
- その③:講習会の修了証があること
- その④:経理的基礎
- その⑤:欠格要件
その①:収集運搬の用に供する施設を有すること
保管施設・運搬車両に関する基準
産業廃棄物が飛散・流出することにより悪臭が漏れるおそれがないような保管施設・運搬車両である必要があります。
保管施設・運搬車両の使用権原
産業廃棄物を保管する施設や運搬する車両などは、申請者が使用する権原を有していることが必要です。
その②:適正な事業計画書を整えていること
産業廃棄物の収集運搬が適正に行われるかを事業計画書にて確認します。
産業廃棄物の種類や運搬量、これに伴い発生する業務量や人員数の計画(予定)から適正であるかを判断します。
その③:講習会の修了証があること
産業廃棄物の収集運搬業を行うためには、専門的知識、技能を身に付けている必要があります。
そして、許可を取得するためには、産業廃棄物収集運搬過程(新規)の講習会の修了証を添付が要件となっております。
受講後の筆記テストに合格しなければなりません。
講習会は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が主催しています。
受講者
申請者が法人の場合:代表者または産業廃棄物処理業務担当役員
申請者が個人の場合:申請者本人
修了証の有効期間
新規許可講習の場合:5年
更新許可講習の場合:2年
産業廃棄物収集運搬過程の講習会については、事前予約となっており、定員に到達すると受講することができなくなってしまいます。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得したいとお考えであれば、早めに講習会の予約をすることをおすすめします。
また、申請先の都道府県ではなく、他の都道府県で受講した修了証の写しを添付して申請することもできますので、お急ぎの場合は他の都道府県の講習会を探してみるといいでしょう。
その④:経理的基礎
産業廃棄物収集運搬業を営むにあたり、的確にかつ継続的に行うことができるかがみられます。
これは、産業廃棄物の収集運搬を受託しても、経済的な余裕がなく、廃業などしてしまった場合は、産業廃棄物が未処理となってしまうなどの公益上の影響が大きいためです。
具体的には、決算書や納税証明書などで、下記のような事項を確認しています。
- 利益が計上できているか
- 債務超過になっていないか
- 法人税等を納税しているか
なお、経理的基礎を有しているかについては、各都道府県によって、判断の仕方や必要書類も異なる場合があります。
その⑤:欠格要件
申請者(法人の役員、株主、出資者、政令で定める使用人)が欠格要件に該当していないことが必要です。
欠格要件の例は次のようなものです。
- 成年被後見人または被保佐人、または破産者で免責を受けていない人
- 禁錮以上の刑を受けて5年を経過していない人
- 廃棄物処理法などの法令に違反して罰金以上の処罰を受け、5年を経過していない人
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない人
- その業務に関して不正又は不誠実な行為をする恐れがあると認められる相当な理由がある人
更新許可申請
有効期間
産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間は5年間(優良認定を受けた場合は7年間)です。
更新は、許可の有効期限日の3か月前の月から受付開始となります。
更新時も有効期限が過ぎていない講習会修了証が必要です。
優良認定とは
優良認定とは、通常の許可よりも厳しい基準を満たした業者を認定する制度です。
優良認定を受ける場合は、更新時に申請する必要があります。
札幌市の優良認定基準は下記のとおりとなっています。
・実績と遵法性
5年以上産業廃棄物処理業を営んでいる実績があり、廃棄物処理法に基づく改善命令などの不利益処分を受けていないこと
・事業の透明性
取得した許可の内容や産業廃棄物の処理状況、施設の維持管理状況など、一定の情報について、インターネットにより一定期間以上公表していること
・環境配慮の取組
ISO14001やエコアクション21などの認証を取得しており、環境に配慮して事業を行っていること
・電子マニフェスト
電子マニフェストシステム(JWNET)に加入し、電子マニフェストが利用できること
・財務体質の健全性
直前3年の事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が10%以上であることや、法人税等を滞納していないなど、財務体質が健全であること
事業範囲変更許可申請
新規で産業廃棄物収集運搬業許可を取得後、下記のような事業範囲に変更があった場合は、変更許可申請が必要になります。
有効期限が過ぎていない講習会修了証が必要です。
- 許可品目を追加する場合
- 積替え・保管施設を新設する場合
変更届
下記の事項に変更があった場合は、変更の日から10日以内に届出をする必要があります。
- 事業の一部廃止
- 氏名又は名称
- 政令第6条の10に規定する使用人または法定代理人
- 法人にあってはその役員または100分の5以上の株主又は出資者
- 住所並びに事務所、事業場及び駐車場の所在地(移転・住所表示の変更)
- その他、事業の用に供する主要な施設(運搬車両等)
ご依頼の流れ
1 お問い合わせ
産業廃棄物収集運搬業許可に関する初回の相談は60分無料でお受けいたします。
事前にご予約頂ければ、時間外や休日であっても相談可能です。
まずはお電話かお問い合わせフォームからご連絡ください。
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2 お打ち合わせ
現在のお悩みや問題点をお伺いし、産業廃棄物収集運搬業許可の取得に向けた方針をご説明いたします。
また、正式に依頼となった場合は、スケジュールや用意すべき書類などのご説明をいたします。
なお、料金や支払い方法については、事前に見積書を提示しご説明いたします。
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3 書類作成、申請書提出
当事務所にて、申請書類の作成および提出資料の作成・収集し、産業廃棄物収集運搬業許可の申請を行います。
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4 結果通知
許可行政庁から、産業廃棄物収集運搬業許可通知が届きます。
お問い合わせ
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