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2.262021
建設業法上の「営業所」の要件とは

建設業の許可は、建設業法上の「営業所」の所在地によって、都道府県知事に申請をするのか、国土交通大臣に申請をするのかが決まります。
そのため、営業所の要件を正確に理解しておくことが必要となります。
ここでは、建設業法上の「営業所」の要件を確認した上で、営業所の義務や注意点について説明します。
建設業の許可の区分については、建設業法で以下のように記載されております。
(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
まとめると次のようになります。
都道府県知事許可 | 1つの都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合 |
国土交通大臣許可 | 2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合 |
営業所は「主たる営業所」と「従たる営業所」に分類される
「主たる営業所」とは
「主たる営業所」とは、建設業を営む営業所を統括し、指揮監督する権限を有する1か所の営業所をいいます。通常は本社、本店等ですが、登記上(名目上)の本社、本店等であったとしても、その実態を有しないのであれば、「主たる営業所」には該当しません。
「従たる営業所」とは
「従たる営業所」とは、主たる営業所以外のものすべてをいいます。
建設業法上の「営業所」の要件とは
建設業法上の「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいいます。
常時建設工事の請負契約を締結する事務所とは、請負契約の見積、入札、契約締結などの実体的な行為を行う事務所のことです。
「営業所」として最低限度の要件は、次のとおりです。
- 契約締結に関する権限を委任されていること
- 事務所など建設業の営業を行うべき場所を有していること
- 電話、机、各種事務台帳や備品などを備えていること
- 専任技術者が常勤していること
なお、営業所の要件については、各都道府県によって若干異なっていたり、さらに細かく規定していたりしますので、建設業の許可を申請する場合は、申請先の窓口で出している手引きを確認しましょう。
営業所を設置することで生じる義務
建設業法上の営業所を設置することで次のような義務が生じます。
- 営業所において締結した請負契約の内容を記載した帳簿を備え付け、保管しなければならない
- 営業所ごとに、公衆の見やすい場所に、建設業の許可票を掲げなければならない
- 営業所ごとに、許可業種に対応する専任技術者を配置しなければならない
- 契約を締結する名義人として、建設業法施行令第3条に規定する使用人を設置しなければならない
営業所を設置する上での注意点
- 一般競争入札の参加に必要な要件として、建設業法における営業所が指定する地域内にあることや主たる営業所が指定する地域内にあることなど、それぞれの入札ごとに参加要件を定めている場合があります
- 請負契約の名義が本店の社長などの名義であっても、実体的に契約の締結をしているのであれば建設業法上の営業所にあたります
建設業法上の「営業所」に該当しないケース
次のような事務所は、建設業法上の「営業所」には該当しません。
- 単なる登記上の本店
- 事務連絡所
- 工事事務所
- 作業所
建設業法上の「営業所」については、建設業許可を取得する際に許可の区分を判断する重要な事項になるため、慎重に判断する必要があります。
また、建設業許可を受ける場合は、営業所ごとに常勤の専任技術者を配置することや営業所ごとに専任技術者を配置するなどの義務も発生します。
営業所の要件を正確に理解した上で課せられた義務を果たすことが、周りからの信用を上げることにつながり、最終的には事務所の規模を拡大することにつながると考えます。