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1.282021
建設業の許可を取得するために必要な条件とは?

建設業の許可を取得するための6つの条件
建設業の許可を取得するためには、次の6つの条件を満たしていることが必要です。
POINT
- 経営業務の管理責任者がいること
- 適切な社会保険に加入していること
- 営業所ごとに専任技術者がいること
- 許可申請者の誠実性
- 財産的基礎
- 許可申請者や役員等が欠格要件に該当していないこと
この条件について、1つ1つ解説していきます。
1 経営業務の管理責任者がいること
建設業の経営業務の管理を適正に行うに足りる常勤役員等(旧:経営業務管理責任者)がいることが条件になります。
具体的には、常勤役員等(個人である場合はその者またはその支配人)のうち1人が、次のいずれかに該当していることが必要になります。
- 建設業に関し、「5年以上」経営経験を有すること
- 建設業に関し、「5年以上」経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営経験を有すること
- 建設業に関し、「6年以上」経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有すること
- 建設業に関し、「2年以上」役員等としての経験を有しており、かつ、これらと通算して、5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者を配置して、かつ、この人物を直接に補佐する者を配置する場合
- 「5年以上」役員等としての経験(建設業に限らない)を有しており、かつ、この人物を直接に補佐する者を配置する場合
建設業の許可の申請をする際のポイントは、常勤役員等の「常勤性」と「経験年数」です。
経営業務の管理責任者である常勤役員等が、会社に一定期間以上常勤していることを健康保険被保険者証の写し、確定申告書、契約書、請求書、入金通帳など、必要な期間分用意して証明することになります。
2 適切な社会保険に加入していること
適切な社会保険(雇用保険、医療保険、年金保険)の加入も建設業の許可の要件になっています。
(法人の場合)
常勤労働者(1人~) :雇用保険、医療保険、年金保険
役員のみ :医療保険、年金保険
(個人事業主の場合)
事業主のみ :個人で加入
常勤労働者(1~4人):雇用保険
常勤労働者(5人~) :雇用保険、医療保険、年金保険
3 営業所ごとに専任技術者がいること
営業所ごとに専任技術者を配置する必要があり、経営業務の管理責任者と兼務することができます。専任技術者の要件は次のとおりです。
(一般建設業許可の場合)
- 取得したい建設業の許可業種に関連した国家資格等を有すること
- 取得したい建設業の許可業種について、「10年以上」の実務経験を有すること
- 取得したい建設業の許可業種に応じた「学歴」と「一定期間以上の実務経験」を有すること
(特定建設業許可の場合)
- 取得したい建設業の許可業種に関連した国家資格等を有すること
- 一般建設業許可の場合の①~③の要件いずれかを満たしたうえで、取得したい建設業の許可業種にかかる建設工事について、発注者から請け負い、その請負代金額が4,500万円以上であるものについて通算で「2年以上」現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を有していること
建設業の許可の申請をする際のポイントは、経営業務の管理責任者の条件と同様に「常勤性」を証明することです。
取得したい建設業の許可業種に関連した国家資格等を有している場合には、それだけで専任技術者の条件を満たすことになりますが、そうでない場合は、契約書、請求書、入金通帳など、必要な期間分用意して証明することになります。
4 許可申請者の誠実性
請負契約の締結や履行について、不正または不誠実な行為をするおそれがないことが条件になります。
不正な行為
例)請負契約の締結・履行の際に、詐欺・脅迫・横領などの法律に違反する行為
不誠実な行為
例)工事内容・工期について、請負契約に違反する行為
5 財産的基礎
財産的基礎とは、請負契約の金額を支払う能力があるか、金銭的な信用を担保しているかを確認するための条件であり、建設業の許可更新の際にも確認すべき事項になります。
(一般建設業許可の場合)
- 直前の決算において、自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力が証明できること
金融機関の預金残高証明書などで証明します。
(特定建設業許可の場合)
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本が4,000万円以上であること
一般建設業許可の場合の500万円以上の資金調達能力の証明については、金融機関の預金残高証明書などで証明を行いますが、一時的に金融機関の預金通帳に500万円の残高があればよいため、親族に立て替えてもらったり、金融機関から融資を受けたりするなど、許可取得の対策をとることもできます。
6 許可申請者や役員等が欠格要件に該当していないこと
許可申請書またはその添付書類に虚偽の記載があった場合や重要な事実に関する記載が欠けている場合や許可申請者や法人の役員等、個人事業主、支配人などが、一定の欠格要件に該当する場合は許可がおりません。
例)一般建設業の許可または特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(建設業法8条2号)
建設業の許可の申請では、経営業務の管理責任者と営業所ごとの専任技術者の条件を証明することが重要となります。
また、誠実性や欠格要件については、虚偽の申請や重要な事項に関する記載が欠けているようなことがあれば、発覚した時点で許可の取り消しになるため、慎重に申請書類を作成し、内容に誤りがないかを念入りに確認する必要があります。
建設業許可をお考えであれば、ぜひ当事務所までご相談ください。